微分には非常に広く深い理論がありますが、データサイエンスにおいて重要なのは
「微分とは何を表しているのか」 を直感的に理解することです。
本記事では、
- 微分とは何か
- 接線と傾きの意味
- 導関数と増減
- 偏微分の考え方
- 勾配(勾配ベクトル)の意味
にフォーカスして解説します。
目次
1. 微分とは何をしているのか
微分を一言で表すと、
関数の各点における「変化の速さ」を調べる操作
です。
もう少し具体的には、
- 関数のある点で
- グラフに引いた 接線の傾き
を求めるのが微分です。
2. 接線と傾きのイメージ
接線とは
接線とは、ある点において曲線と「触れるように接する直線」のことです。
その点を 接点 と呼びます。


例えば、ある関数のグラフ上の点 (1, 2) において引かれた直線が接線です。
この接線の 傾き が、その点での微分値になります。
3. 導関数とは
関数を
f(x)
としたとき、その微分を
f′(x)
と書き、これを 導関数 と呼びます。
導関数は、
「x の値を与えると、その点での接線の傾きを返す関数」
です。
例:2次関数の場合
たとえば、
f(x) = x²
とすると、その導関数は
f′(x) = 2x
になります。
- x = 1 のとき → 傾きは 2
- x = 0 のとき → 傾きは 0
つまり、導関数を使うことで「どの点でどれくらい傾いているか」が分かります。
4. dx という表記の意味
微分の厳密な定義では、「ある一点の周りを非常に細かく見る」ことを考えます。
そのため、
- Δx(変化量)
の代わりに - dx(極めて小さい変化)
という記号を使うことがあります。
dx は「限りなく小さい変化」を表す記号だと理解しておけば十分です。
5. 1次関数の微分
f(x) が 1次関数(直線)の場合、
- 接線は元の直線そのもの
- 傾きはどこでも一定
になります。
そのため、導関数は 定数関数 となり、その値は直線の傾きに一致します。
6. 導関数と関数の増減
導関数の 符号(プラスかマイナスか) に注目すると、関数の振る舞いが分かります。
- f′(x) > 0 :関数は増加
- f′(x) < 0 :関数は減少
極大点・極小点
f′(x) = 0 となる点では、
- 増加 → 減少 に変わる
- 減少 → 増加 に変わる
ことがあります。
このような点を、
- 極大点
- 極小点
と呼びます。
ただし、微分が 0 だから必ず極値とは限らない ことに注意が必要です。
7. 2階の導関数
極大点か極小点かを判断するために使うのが、
導関数をさらに微分したもの
で、これを 2階の導関数 と呼びます。
- 2階導関数が正 → 極小
- 2階導関数が負 → 極大
といった判定に利用されます。
8. 変数が複数ある場合の問題
ここまでは、変数が1つの関数
f(x)
を扱ってきました。
しかし、ビジネスやデータ分析では、
- 売上 × 広告費 × 時期
- 価格 × 評価 × 在庫
など、複数の変数が同時に関係する関数 を扱うのが普通です。
例えば、
f(x, y)
のような関数を考えます。
9. 偏微分とは何か
2変数関数 f(x, y) において、
- y を定数とみなして
- x だけを変化させたときの微分
を 偏微分 といいます。
偏導関数の表記
- x で偏微分したもの
∂f / ∂x
- y で偏微分したもの
∂f / ∂y
と表します。
これは、
「他の変数は固定したまま、1つの変数だけの影響を見る」
という考え方です。


10. 偏微分をさらに行う
偏導関数をさらに偏微分することも可能です。
- ∂²f / ∂x²
- ∂²f / ∂x∂y
といった形で表されます。
2変数関数の極大・極小の判定では、これらが重要な役割を果たします。
11. 勾配(勾配ベクトル)とは
偏微分の最も重要な応用が 勾配(gradient) です。
n 変数の関数
f(x₁, x₂, …, xₙ)
について、
- 各変数で偏微分した値を並べたもの
が 勾配ベクトル です。
勾配の意味
勾配には次の重要な意味があります。
① 勾配の向き
→ 関数 f の値が 最も大きく増加する方向
② 勾配の大きさ
→ その方向に十分小さい距離 C 進むと、
関数の値は 勾配 × C 程度 増加する
この性質は、機械学習の 勾配降下法 の理論的基盤になります。
12. 学習ポイント(重要)
● 偏微分とは何かを理解する
● 意味を意識して計算できるようになる
微分・偏微分・勾配は、数式として覚えるだけでなく、
「何がどれくらい変わるのかを見ている操作」
だと理解することが、データサイエンスでは何より重要です。
まとめ
- 微分は「接線の傾き」を求める操作
- 導関数は「傾きを返す関数」
- 符号を見ると増減が分かる
- 偏微分は「他を固定して1変数を見る」考え方
- 勾配は「最も増加する方向」を示す
これらはすべて、
最適化・機械学習・統計モデルの基礎につながる重要概念です。
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