1. はじめに
統計解析を行う際、「2つのグループの違いを検定したい!」 という場面はよくあります。
特に、データが正規分布していない場合やサンプルサイズが小さい場合に使われるのが、
- マンホイットニーU検定(Mann-Whitney U test)
- ウィルコクソン順位和検定(Wilcoxon rank-sum test)
この2つの検定、実はほぼ同じものですが、細かい違いもあります。
今回は、違いをできるだけシンプルに説明します!
2. どちらも「順位」を使った検定
マンホイットニーU検定もウィルコクソン検定も、データの順位を使って2つのグループの違いを調べます。
たとえば、AとBの2グループのデータがあったとき:
- データの大小で順位をつける
- 各グループの順位の合計を求める
- その合計が大きく違えば「2グループは異なる」と判断する
つまり、どちらも**平均値ではなく、データの「分布の違い」**に注目した検定なのです!
3. 何が違うの?
① 名前が違うだけ!
実は、マンホイットニーU検定とウィルコクソン順位和検定は同じ計算方法を使っています。
ただし、結果の算出方法(出力される統計量)が異なるため、別の名前がついています。
- マンホイットニーU検定 → U統計量を計算
- ウィルコクソン順位和検定 → 順位和統計量を計算
ただし、どちらも最終的なp値は同じになります。
② ウィルコクソン検定には2種類ある
ややこしいのが、「ウィルコクソン検定」という名前が2つの異なる検定を指すことがある点です。
検定名 | 比較するもの | 用途 |
---|---|---|
ウィルコクソン順位和検定(Wilcoxon rank-sum test) | 独立した2グループ | マンホイットニーU検定と同じ |
ウィルコクソン符号付き順位検定(Wilcoxon signed-rank test) | 同じ対象の「前後」比較 | 対応のあるデータ(例:治療前後の比較) |
つまり、独立した2つのグループの比較なら、マンホイットニーU検定とウィルコクソン順位和検定は同じものですが、
ペアデータの比較には「符号付き順位検定」を使うので注意が必要です。
4. どっちを使うべき?
検定名 | 使う場面 |
---|---|
マンホイットニーU検定 | 2つの独立したグループ(データは正規分布でなくてもOK) |
ウィルコクソン順位和検定 | マンホイットニーU検定と同じ(統計量の違いだけ) |
ウィルコクソン符号付き順位検定 | 同じ対象の「前後」比較(例:治療前後の変化) |
→ 2つの独立したグループを比べるなら、どっちを使ってもOK!
(マンホイットニーU検定かウィルコクソン順位和検定)
→ もし「同じ人の前後比較」なら、ウィルコクソン符号付き順位検定を使う!
5. まとめ
- マンホイットニーU検定とウィルコクソン順位和検定は、ほぼ同じもの!
- 違いは「統計量の計算方法」だけで、p値は同じ
- ただし、「ウィルコクソン検定」には2種類あるので注意!
- 「順位和検定」→ 2つの独立したグループの比較(マンホイットニーUと同じ)
- 「符号付き順位検定」→ 同じ人の前後比較に使う
これで、マンホイットニーU検定とウィルコクソン検定の違いがスッキリしましたね!
どちらを使うべきか、状況に応じて正しく選びましょう!