サンプルサイズの決め方:統計的に有意な結果を得るために

1. はじめに

統計分析において、サンプルサイズは結果の信頼性を左右する重要な要素です。本記事では、サンプルサイズの決定方法について解説し、統計的に有意な結果を得るために必要な『サンプルサイズ』について概念や計算方法について解説します!

2. サンプルサイズとは?

  • 定義: サンプルサイズとは、調査や実験で収集するデータの数のことです。サンプルサイズが適切でない場合、結果が統計的に有意でない、またはバイアスがかかるリスクがあります。
  • 重要性: サンプルサイズが小さすぎると、結果が偶然に左右されやすく、誤差が大きくなります。一方、大きすぎると、調査コストが増大し、無駄が生じる可能性があります。

3. 統計的に有意な結果とは?

有意水準(α): 一般的に5%(0.05)や1%(0.01)が使われ、これは「帰無仮説が正しいときに、データが観察される確率」を示します。統計的に有意であるとは、この確率が有意水準を下回ることを意味します。

効果量(Effect Size):

  • 定義: 効果量とは、独立変数が従属変数に与える影響の大きさを示します。効果量が大きいほど、少ないサンプルサイズで有意な結果を得やすくなります。
  • 効果量の種類: コーエンのd、相関係数r、オッズ比など、目的やデータの種類によって使用される効果量が異なります。

効果量については下記の記事を参照ください。

サンプルサイズの計算で使われる『効果量』とは

検出力(Power): 検出力とは、実際に効果があるときに、それを検出できる確率です。通常、80%以上の検出力が求められます。この検出力が先ほどの検証の際の確からしさに繋がってきます。第二種の過誤を犯さない確率のことを言います。

第二種の過誤とは何か?については下記の記事で解説しております。

統計学における第1種の過誤と第2種の過誤についてわかりやすく解説

4. サンプルサイズの決定方法

  • 事前検定と事後検定:
    • 事前検定: サンプルサイズを決定する前に、効果の大きさ、α、検出力を基に必要なサンプルサイズを計算します。
    • 事後検定: 実験後に結果が有意かどうかを確認し、そのサンプルサイズが適切だったかを評価します。
  • サンプルサイズの計算方法:
    • こちらにサンプルサイズを簡単に計算できるツールを作成したので、ぜひ使ってみてください!
サンプルサイズ計算ツール

5. 実例での計算

  • 例1: 平均の比較:
    • ある新薬の効果を検証するために、50人の被験者を2つのグループに分け、効果量を0.5、αを0.05、検出力を0.8とした場合のサンプルサイズを計算します。
  • 例2: 相関の検証:
    • あるマーケティング施策が売上に与える影響を相関分析で検証する際に、必要なサンプルサイズを求めます。

6. サンプルサイズが足りない場合の対応

  • データ収集の延長: 必要なサンプル数に達するまでデータ収集を続ける。
  • ブートストラップ法: サンプルサイズが小さい場合でも信頼性のある推定を行うために使用される方法です。
  • ベイズ統計: 少ないサンプルサイズでも、事前情報を活用して推定を行うベイズ統計の利用を検討する。

7. 結論

  • サンプルサイズの決定は、統計的に有意な結果を得るための重要なステップです。事前にしっかりと計算し、適切なサンプルサイズを確保することで、信頼性の高い結果を得ることができます。

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