統計学のさまざまな法則を理解するためには、その前提として
事象が何通り起こり得るのか(場合の数) を正しく数えられることが重要です。
本記事では、
- 順列と組み合わせ
- 確率と条件付き確率
- 期待値
- 独立
という、統計学の土台となる概念を順番に解説します。
1. 場合の数とは何か
場合の数とは、
ある条件のもとで起こり得る事象の総数
を数えることです。
確率は「起こり得るすべての事象のうち、どれがどの割合で起こるか」を考えるため、
まずは 全体が何通りあるのか を把握する必要があります。
2. 順列(Permutation)
定義
順列とは、
複数の異なるものを並べる並べ方
のことです。
n 個の異なるものの中から r 個を選んで並べる順列の数は、
- nPr
と表します。
順列の公式
nPr=n×(n−1)×(n−2)×⋯×(n−r+1)
具体例
「1, 2, 3, 4, 5」の5枚のカードから、
3枚を選んで 横一列に並べる 場合を考えます。
- n = 5
- r = 3
5P3=5×4×3=60
これは、並び順が異なれば別の結果として数える ためです。
3. 組み合わせ(Combination)
定義
組み合わせとは、
複数の異なるものから一定数を選ぶ選び方
のことです。
順列とは異なり、並び順を考慮しません。
n 個の中から r 個を選ぶ組み合わせの数は、
- nCr
と表します。
組み合わせの公式
nCr=r!nPr
r! で割る理由は、
同じ要素の並び替えを すべて同一とみなす ためです。
具体例
「1, 2, 3, 4, 5」の5枚のカードから
3枚を選ぶ組み合わせの数は、
- n = 5
- r = 3
5C3=3!5P3=660=10
4. 確率とは何か
定義
確率とは、
ある事象が、すべての事象に対して起こる割合
を表す数値です。
確率は「どの程度の頻度で起こるか」を
定量的に評価 するための統計学の基本概念です。
5. 条件付き確率
定義
条件付き確率とは、
ある事象が起こったという条件の下で、別の事象が起こる確率
を指します。
「B が起こったときに、A が起こる確率」は、P(A∣B)
と表します。
条件付き確率の定義式
P(A∣B)=P(B)P(A∩B)
- P(A∩B):A と B が同時に起こる確率(同時確率)
- P(B):B が起こる確率(周辺確率)
具体例:遺伝子と病気
例として、
- 病気Aに「かかる人」「かからない人」がそれぞれ1000人
- 遺伝子Bを「持つ人」「持たない人」もそれぞれ半数
とします。P(A1)=P(A2)=21,P(B1)=P(B2)=21
このとき、
遺伝子Bを持つときに、病気Aにかかる確率
を条件付き確率で計算すると、P(A1∣B1)=43
となり、
遺伝子Bを持つ場合、病気Aにかかる確率が高いことが分かります。
このように、条件付き確率は
特定の条件下でのリスク評価 に非常に有効です。
6. 期待値
定義
期待値とは、
得られるすべての事象の値と、それが起こる確率の積を足し合わせたもの
です。
「長期的に見た平均的な値」を表します。
サイコロの例
公平なサイコロでは、
1~6 の目がそれぞれ 1/6 の確率で出ます。E(X)=1×61+2×61+3×61+4×61+5×61+6×61=3.5
したがって、サイコロの目の期待値は 3.5 です。

7. 独立とは何か
定義
2つの事象が 独立 であるとは、
同時に起こる確率が、それぞれの確率の積で表される
ことを意味します。P(A∩B)=P(A)×P(B)
サイコロの例
A のサイコロと B のサイコロを同時に振る場合、
- A の出目は B に影響しない
- B の出目も A に影響しない
このとき、2つの事象は 独立 であり、P(A∩B)=P(A)×P(B)
が成り立ちます。
まとめ
- 順列:並び順を考慮する
- 組み合わせ:並び順を考慮しない
- 確率:起こる割合
- 条件付き確率:条件の下での確率
- 期待値:長期的な平均
- 独立:互いに影響しない事象
これらはすべて、
統計的に「不確実な現象」を扱うための共通言語
です。


