目次
■ 本講の位置づけ
第二編は「DXを実行するための設計論」です。
第1講では、次の3テーマを扱います。
- BPR(業務再設計)
- KGI・KPI・ターゲット設計
- OKR(変革推進の枠組み)
DX検定では、これらは単語知識ではなく“構造理解”として問われます。
第1章|BPRとは何か ― 改善ではなく再設計
■ BPRの定義
BPR(Business Process Re-engineering)とは、業務プロセスを抜本的に見直し、再設計する取り組みです。
ここで最重要なのは「抜本的」という部分です。
■ 改善とBPRの決定的な違い
| 観点 | 業務改善 | BPR |
|---|---|---|
| 前提 | 現状前提 | 前提を疑う |
| 対象 | 部分最適 | 全体構造 |
| 目的 | 効率向上 | 価値構造の再設計 |
■ 実務ケース:通信会社の申込業務
現状(As-Is)
- 店舗で申込書記入
- 本人確認書類提出
- 本社で審査
- 契約確定まで7日
改善案
- タブレット入力
- RPA導入
→ 処理日数6日
これは改善です。
BPR案
- eKYCによるオンライン本人確認
- 信用情報API自動照会
- 即時契約モデル
→ 契約当日完了
これは構造そのものの再設計です。
■ DXとの接続
DXの定義は
デジタル技術によってビジネスや組織を変革し競争優位を確立すること
である以上、既存プロセスを前提にしたIT導入では不十分です。
BPRは、
既存業務を最適化する
↓
既存業務の前提を壊す
という発想転換を意味します。
第2章|KGI・KPI・ターゲット設計 ― 指標は戦略そのもの
DXが失敗する最大の理由は、指標設計の誤りです。
■ 正しい設計順序
KGI(最終目標)
↓
KPI(進捗指標)
↓
ターゲット(数値目標)
■ 具体例:EC企業
KGI
- 年間売上120億円
売上分解
売上 = 客数 × 客単価 × 購買頻度
KPI例
- 新規会員数
- CVR
- 平均購入単価
- リピート率
ターゲット例
- CVR 1.2% → 2.0%
- 客単価 5,000円 → 6,000円
■ よくある失敗
「アプリDL数を増やす」
これはKPIかもしれませんが、KGIが不明確です。
結果:
- DL数は増える
- 収益は伸びない
指標設計とは、ビジネスモデルを数式で分解することです。
第3章|OKRとは何か ― 変革フェーズの推進装置
OKR(Objectives and Key Results)は、
目標(Objective)と成果指標(Key Results)で組織を動かす枠組み
です。
■ KPIとの違い
| KPI | OKR |
|---|---|
| 進捗管理 | 方向性提示 |
| 安定運用向き | 変革向き |
| 維持 | 挑戦 |
■ 金融機関の例
Objective
来店不要のオンライン融資を実現する
Key Results
- オンライン申請率70%
- 審査1時間以内
- 顧客満足度4.5以上
■ なぜDXに必要か
DXは「現状延長」ではありません。
OKRは、
- 大きな方向性を示し
- 数値で検証し
- 組織を同じ方向に揃える
ための装置です。
第4章|戦略設計の統合構造
ここまでを統合します。
① BPRで構造再設計
② KGIでゴール定義
③ KPIで分解
④ ターゲットで数値化
⑤ OKRで全社連動
これが、DX戦略設計の骨格です。
■ DX検定で問われるポイント
- BPR=業務効率化ではない
- KGI→KPI→ターゲットの順序
- OKRは人事制度ではない
- 目的と手段を混同しない
単語暗記ではなく、
「なぜその順番なのか」
を説明できることが重要です。
■ 本講まとめ
- BPRは構造再設計
- KGIは最終目標
- KPIは分解された進捗指標
- OKRは変革推進の枠組み
これらが接続して初めて、DXは実装可能になります。
■ 第2編ー②はこちら
次は第2編ー②:
顧客起点設計(デザイン思考・カスタマージャーニー)
【DX検定対策講座】第2編ー②|顧客起点で設計する ― デザイン思考とカスタマージャーニーの構造理解


