確率分布における期待値とは?基本からわかりやすく解説

期待値は、確率論や統計学で非常に重要な概念の一つです。確率分布に基づくデータの平均的な値を示すもので、現象の長期的な傾向を理解するのに役立ちます。本記事では、期待値の基本的な定義から具体例まで、分かりやすく解説します。


期待値の定義とは?

期待値(英: Expected Value)とは、確率分布における「重み付き平均」のようなもので、次のように計算されます。

離散型確率分布の場合

確率変数 X の期待値 E[X] は次の式で定義されます。

ここで:

  • xi:確率変数 X の取りうる値
  • P(X=xi): xi が起こる確率

連続型確率分布の場合

確率密度関数 f(x) に基づく期待値は、次のような積分で定義されます。

この式では、確率密度関数 f(x)によって、各値 x がどれだけの「重み」を持つかを反映します。


期待値の具体例

1. サイコロの期待値

普通の6面サイコロを振る場合を考えます。このサイコロの目は 1,2,3,4,5,6 で、それぞれの確率は 1/6 です。

サイコロを無数に振った場合、平均的に出る目は 3.5 になると予測されます。

2. 正規分布の期待値

標準正規分布(平均 0、分散 1)では、期待値はその平均値に一致します。このように、対称な分布では期待値が直感的にその「中心」を表すことが多いです。

期待値の性質

期待値には以下のような便利な性質があります。

  • 線形性
    期待値は線形性を持ちます。すなわち、確率変数 X,Y とスカラー a,b に対して:
  • 加法性
    互いに独立な確率変数 X,YX, YX,Y に対して:E[X+Y]=E[X]+E[Y]

期待値の応用

期待値は統計学や意思決定理論など、多くの分野で応用されています。以下はその具体例です。

  1. ギャンブルや投資
    各選択肢の期待値を計算することで、長期的に最も有利な選択肢を判断できます。
  2. 機械学習
    モデルの性能指標(例えば損失関数)の期待値を最小化することが、学習アルゴリズムの目標となります。
  3. 保険業界
    保険料の設定は、損害額の期待値に基づいて計算されます。

まとめ

期待値は確率分布を理解するための基本的な指標であり、現象の「平均的な傾向」を示します。その計算方法はシンプルですが、応用範囲は非常に広く、統計や実務において欠かせない概念です。この記事をきっかけに、期待値についてさらに深く学んでみてください!

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